志学再び

2004年5月9日 文語詩
 歓声のごと傾き
 罵倒のごと退きぬ
 かくて揺らぐ志を嘆くも
 嘆きにさえ耽溺する愚かに浸る
されど君が剣戟の光輝に灯を知り
嘆息の安臥より舞台へぞ歩みたる
 学問はたゆまぬ劇場にして
 囲い見えざるアリーナのごとし
 巨人が足音に逃げまどい
 セイレンの歌うや耳を聾するも
黄金にたなびく君が御勲
惰弱なる身に躍動を伝え給う
飛び交う矢石におののきつつも
我未だ見(まみ)えざる君を志さん

乞食風の独白

2004年3月27日 文語詩
煮立つ胃の腑は軽率を咎め
諾々として御者に食を乞う
昔日を遠み汚臭覆えば
怠惰にむしろ心身は憩う

眠りは悉皆闘争なるに青々とし
我烏と学のはざまにてはや一年になりぬ
義と情愛のいずれかによるは因果なるか
然りと言わずに腕を枕とす

若き暴虐のきらめき背を刺し
日毎のいたつきに少しく励むも
是か非かあやまたずは難し

春風に冀う

2004年3月12日 文語詩
熟れたる芳香肌をかすむ
明らまじのうぬが愚とて
足下の雪いよいよぬるみ
外殻を溶かし燐粉と散るらん

春風赴く果ての境地に
いかで古人の智慧を見ばや
千々に舞いつる蝶となりて
うぬが愚も散ずべし

さりとて蒼天の渦目声高く
大地の抱擁も然りと語る
燦然と陽光此のはらを射ぬき
草木と暗愚とを養う

女人の状景

2004年2月26日 文語詩
いざよし西方の煙に山火事を見ん 
吾が係累の極彩色に年輪とシメトリーとの落涙を聞く
氷柱の女人に地母神より衛生兵を注ぐ
微細なる汝が刃を風の動詞からなるスポンジで畳まん
むしろいたつきの負債を支払う般若湯をつげばや
恥辱の雨垂れ、舶来眼鏡を酒だると飾るるに
汝おのずから孤独のつとむる若い抜糸に鶏鳴を求めたり
さだめて貴なれどうつろなるべし

メランコリー

2004年2月20日 文語詩
やがては果つる花の芽に晴天苦く
ひな鳥は明日の餌食となるかを恐る
さらば吹く風の愛撫慰安ともなり
月光はあわれみをもって忘我を与う

しかるに人の身にありて
苦きを味わう舌持たずまた
肉を献ずる天敵のなきに
いかでか風月の寵に適わん

まして咲くべき花を手折りて枯らし
鳥の飛翔をあだな漂泊となす
まさに天地の両門さえ閉ざさんと欲するの如し

しからば吹き込む風の平安を求むることなかれ
差し込む月光の憧憬を抱くなかれまた
悠然として存することなかれ
 流れる憤怒吾人に対して曰く、自ずから卑しい微細な流血をなすは生と死の間に結ぶ妥協の条約に過ぎぬ、と。真に生を受け容るるならば世を学び人を知りて行いの愚かなるを改めるべし。真に死を求むるならばむしろ澄んだ刃を頸に一突きしあるいは首綱を掛けまた滝への飛翔をもって確かに目的を達すべし。仮令汝が愚行の利権をとなえども己が安寧の為かかる正当化をなすは断じて道にあらず。道すなわち生と死といずくにかあらん。汝すでにして在るのゆえに在らぬこと能わず。
 吾人これを聴き嘆息して憤怒を飲み下し胸を茫漠に預けるなり。

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