春が背中にのしかかる
鈍い女の声が額を這っていく
この苦い夜は葉脈を駆け巡り
黒々とした星の瞬きに道標もおぼろに見える
道の頭脳にあると信じた涙
不妊の胃袋で転げ回り
正義の足跡に懺悔をこなす

あわれなオウムよ
それゆえ時計と悔恨のジャムとなり
サイレンの歯ぎしりを奏でたまえ
けたたましい白痴の胸をえぐりたまえ
しかるのちに道を顧み
第二の故郷へ駆り出したまえ

いとけない春が背中にのしかかる
使い捨ての饒舌が首を締め付ける
淡い脂肪が虚栄の流血を呼び
席巻する愛の爆笑が電線を駆け巡る
幾多の兵士幾多の傭兵が
炸裂する強欲の破片を突き刺すのか

緑のオウムよ
己が頭脳に街中を生育するおまえの姿を
一個の商品に陳列したまえ
けだし正義の値札をつけて
歯を剥き出す星を追いやりたまえ

めくらのオウムは厳かに足並みそろえ
かつて流出と呼ばれまた胃袋の桜と呼ばれた
あの悪徳を切り裂くか
あの胆汁を夜毎の祈りに
くり出した針を飲み込みたまえ
投げつけた斧を身に受けたまえ
しかるのちに清水を飲み干し
第二の故郷へおもむきたまえ
可燃性の一撃がランプに点る
培養されたナルキッソスの花粉だけがフラスコにつめられた風景
だからこそ忍耐は此岸から彼岸へのシャーレで萎縮し
頭蓋にめりこむ腐敗の夜をとりのぞくこともできない

西を向き鉛の風をのみほして
愛の白扇はガラスの胃袋で爆発する
過剰なアルコールに酸素は欠乏し
燃料に浸った芯の先端は喘ぎ苦しむ
欲望の讒言を封じ火を放て
私に火を灯し骨の一本まで灰と化せ

しかし酸欠ランプの独語は空しい繰り言
頭蓋にめりこむ夜もとりのぞけない
天から手が生える
そして無制約の劇場が無数の弾丸
となるいとまもなく
ペンの切っ先
ぬるま湯の詰問より苦々しいもの
我々の雨はいずこにて注ぐのか
水仙の腐敗
それはいかなる悪より苦々しい
泉に沈む倒壊の電子音
成就への櫓は狼の仮面をかぶる
巫女達のけたたましい叫びに侮蔑をひとつ
しかしその目は不正の面会
の最中に踊ることもできず
悲劇の斑点は徒な怠惰往きの計画に等しい

羊毛には垢がともなう形態
は児戯ごとくに日々が飲まれる
水仙の愛
それは自らを燦然と輝く太陽になぞらえ
毛穴から放つ毒で自らを損ねている
永劫の軌跡には来し方も行く末も
定かにて存するゆえに一切は雄々しい
しかし醜悪は水仙の嫡男である
いずこにも知れず
葉が痩せゆく王道の石につまずく
額ずく喜劇の紋様に尿道の病を見るのである
讃えよ讃えよ
 願うべきものが正義を知らぬ時も、私は光り輝く言葉の群れを愛すことができよう。しかしながら思いとどまる。とどまることなく分裂し、新たに発見されたこの元素を知ろうとは。大地に存在しつづけながらヴェールの向こうに隔てられ、しかも日々の糧食ほどに馴染みぶかくまた会議以上に公共的な元素を。
 それは重々しく回転し、海に染み込んだ酸素と激しく反応を起こすものらしい……いや、伝聞ではなく確かにそれが吹き出す泡や攻撃的な声は甚だしい。いかなる言葉も真偽が問われうる。だが新たな化学反応は真偽を問われることはない。まして善悪がどうして問われるのか。およそ信じ難い。こうしてただ知覚の次元でのみ語られることが永遠に行われて来たというのか。
 この元素は炎を玉虫色にする。時には透明の炎となって陽光に溶け込み姿を隠し、またある時には漆黒となって世界に深淵を作り出す。酸素との諍いで時には真紅ともなり、退屈なやりとりに青ざめもする。これは果たして私の網膜が原因なのか、今もってわからない。
 かかる元素の不気味さはそれを大地が抱いているということだ。真珠のけばけばしさを私は憎むことができるが、それは大地に存在し得ないからである。かの元素は不気味である。正義も身体もすべてこれによって成立しているかもしれないからである。
 私もかの元素の名を知っておりすでにかのものは愛欲と呼ばれている。
少しばかりドイツ語通じる祝砲
沸騰する昨日のネクタイ
踊りは地下鉄で犯罪区域を飲み込む
神話的な電子音の速報
怒りに満ちた運命は鉄の涙を流す

ネクタイだったムルソー少年
人生の本質は無軌道な意志である
ならば意志とは炎より脆い因縁
やがて混沌の愛しき意志は栄えるだろう
栄えある猪の旗を抱いて
宝物を山羊の過ちに変えて
白蛇と番った万感の乙女が昇っていく

若者は十二歳であった

大地の咆哮すなわち観客を失う理性
曙の神々が現れる円形競技場
回転を続ける風と魚の愛に
万感の思いで龍の狡猾は夜に散る
夜々の過程に全体とまみえながら
雲のさなかに預言者が落とされた
あの雷を裂け目に唾棄

かつて四十八歳であった
臥床にいる幼子を
正義が呼び寄せる
火のめり込んだ道
夜を吐き出す風
数多なる警笛の怒号に
われわれは武装する

道は果てなし
呼び声は時に悲哀を
そして時には歓喜を帯びて
われわれは互いにナイフと
そして貨幣を懐に
環を作っては散る

たえぬさざ波はコインと刃
泣き女を囲む環や
あるいは老婆を囲む環
踊りにあわせさまざまに変調する
正義の歌声

われわれは売り歩く
密輸した正義の心臓を
踊り手達のざらつく歌とともに
われわれはまた買い歩く
密輸しかできぬ正義の心臓を
購買欲をかきたてるナイフの歌とともに

幾多のヴェールをわれわれは歌う
昼と夜とが織り込まれた幾多の歌声を


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>ちいさま
リンクして下さってありがとうございます。
繊毛だらけの缶が立ち並び倒れていく
そしてどれもがまくしたてる諸々の思想
 頭から水仙をはやした者を侮蔑すべきである
 楽しげに花粉をまきちらす者を泉に蹴落とすべきである
染みだらけのブリキは歯をむき出して猛り狂い
液体のメッキに罵声達がしわをつける
 森羅万象に霊感を受けたと内面ではしゃぐ詩人を侮蔑すべきである
 自己の豊かな感受性を称する者は虚栄心を拭えない
  語りによって自我は顕示せざるをえないゆえ
 自ら鋭敏な知性を謳う者に無知の知は実践し難い
  口先で無知を認めても判断に際してそれを忘却するゆえに
狭く無形の段ボールには窓もない
諸々の思想は転げ回って互いに殴打し
際限を知らず増殖する機内
 「あらゆる言説は虚栄や自惚れから自身に反射する
 「あらゆる罵倒もしかり
 「罵倒は自身への矢であり同時に甘い水仙の泉である
わたしは行く先の知れぬ志向をぶらさげ
いまだ鳴り止まぬ空き缶のダンスを聞く
飲み込んだ鉄材具の花粉にくしゃみをしよう
そしてビニル製の憤怒や
錆び付いた憎悪などを
どこかの火葬場へと吐き出すのだ
(かさ増えん鉄)
(ガスくゆる肺)

胸に残るFe味を発泡ソーダで洗浄しよう
しかも砂糖漬けの喜びや
天日干しの愛などをつまみに
誰かの納骨堂へと押しながすのだ
(錆もどる鉄)
(骨響く音)

さわやかな身体でいざ街を見よう
心情が葬られたその墓地を見よう
そして愛や喜びの影
認可される心情の裏側で
悲鳴をあげる鉄の声を聞くのだ
いつかの記憶へ溶け去った熱い鉄を聞くのだ
すすり泣く理性はシルクハットをかぶり
光り輝く拡声器はミントの香り
アーケードの裂け目からはなめらかな深淵が垂れ
港を焦がしまた港に紛れる雑然の蒸気からは
怒号と水仙の嘲笑しか聞こえない
世界の全てを七色の氷で映し出し
権利上のネクタイも放棄した哲学者諸氏に
どうして豊潤な陸が必要なのか

ほぐし難く断ち切り難く
徴兵された幾多の思索の糸たちよ
生への奉仕を迫られる
論理と言語の問いかけよ
貨物室に陳列された真理たちは肩を落とし
しかも化粧の支度に余念がない
われわれは正義を鏡に好みのままに紅を引いては
苦い欠如との野合を拒むこともできず
愛を欲望のキャンバスとなして自ら疲弊し
もはや星の姿のいかなる影も見出し得ない
そして美さえが肥太った自我の舌に貪られ
君主制的権利の偽装に陵辱されるのだ

人生の下女となり
ダイヤモンドの人格と価値ある虚飾に悲鳴をあげる
存在と本質の定式よ
おまえは我が身のための夢のなかでも
永遠なる堅固のパンを望んでいた
だが今や混沌の街の中で夜の中で
聾のおうむや金髪のマルガリータの満足のため
頭脳のようなソナタを演じるのか
 おお調和の羽毛に身を包み
 海なすロゴスと溶け合った
 理性と歴史の鍵穴よ
われわれは定住の港を求めて漂泊を拒み
それゆえ無実の読書はありえない
思索者は人生のためにその果実を捧げるのではなく
果実のために人生を捧げるのだ
降り注ぐ三叉路の堆積
怠惰に湿った花弁の中に
つまった論理的鍵盤楽器の音を聞く
英独仏希語のひしめく傘をさして
花弁は黒い雨水を飲もうとする

降り注ぐ三叉路の堆積は
六重九重の頭に分たれる
おのおのが脂肪と吝嗇で塞がれ
各種学問のネオンばかりが光っている
街路地が暗闇で受ける破産の誉

開いた傘から降り注ぐ三叉路が
堆積するこの身体
看板を外しても電球はなお点っている
感傷的な日常の出血
いかなる単調さの鏡が月のヒエラルヒーに
鋼鉄の幕を上げるのか
選定の花を捧げるのか
妙なる歌声の配置がカテゴリーの謙虚さに
吸い上げられあたかも罪悪のアルコールのように
放埒なせせらぎをガラスのあぎとで隠す秋のように
酔いどれの図書館をすり抜けるのだ

輝く単語を身にまとい
太くうねる風の髪 
誠実な水晶のため円かな混沌を押し込めた批評家達
彼らのロゴスは血を流し
鮮血で固めた氷の刃を永遠の作品に捧げるが
おお宵風のセイレーン成就の螺旋階段よ
アポロンの清澄は幾多な螺子を明らかにし
一切のナルキッソス的虚偽から免れることができる
だがロゴスの頬にかすめる風の髪
言語の星雲まだら模様の渦から現る無上の妙音
私の愛するツァラトゥストラ
ルーマニアに配された小宇宙よ
その軌跡には恣意の節制と光輝く種子が記されるが
形式の奉仕と成就のヴェールは相容れることなく
鈍く粗くそして不正な事実の次元に没していく

ルーマニアのツァラトゥスウトラに
吹き込まれた風の柔らかな魂
どうして醜いモナドの牢獄で好みのままに
詮索され陵辱され唾液まみれにされぬことがあろうか
美的感動なる精神の暴虐にほしいままにされることが許されようか
成就はけして事実ではなく
宇宙の炎はどこまでも遠ざかる永遠
我が愛の名を冠してなぶられた詩人のために
むしろオデュッセウスの不正を犯す
セイレーンの声は誘惑の成就
だがそれに耳を塞ぎ語るべきは
その論理と形式なのだ
針のはえそろう空気の中でやましい声はタールを含み
重厚な人々の緻密な連関法則のために
斧を吐き出す喉がつぶれない
光輝く御尊顔は意図せずして胸をつぶす
床でのたうつ癲癇の石たちは背中から生じる無数の卵に
無上の恥辱をわれと感ずる
自ら蹴り落とす螺旋の熱情に
まつわりつく蛇の不遜に
また飲下せぬ鈍石のおもおもしさに
我が身を縛る虚偽の鎖
飽和した視線の先にある権利上の業務
痺れた推論を情緒的に操作しながらも
開かれたドアからは影がさすばかり
頭の中で塞がれた言語の地平線
鉄屑の心臓が空気を犯す
ほうきで掃き去られる数多の錆
いずこと知れぬ変数に代入されるなら
いっそ我が頭脳の油に浮かべて欲しい
数多の錆よ穢れた卵あるいは電動機械のふざけた微熱
諸々の罪悪を正義の因果に従い
うらぶれた玉座へ刑の執行を待つ
くたびれた善意の空しい掃除を待つ
世界のへそにそびえ立つしなやかな指を
金剛石のしなやかなさをもつ指を引き抜いて
雷鳴の破片をアヴァロンに呼ぶ
神々の血が溶け込んだ光の矢と
魂のうちに燃える火を閃光にのせて
存在に大地が留め金をかけ
英雄が手にする林檎はけしてスプレー缶にはならない
キャメロットは王の鏡であり
万人の鏡としてまた憧憬の成就として
透き通る陽光に立ち上がる錫の道や
看板もなく広がる商店が円かに背中を支えている
正義の分裂と愛の虚偽に彼らは苦悩を知っているが
しかし正義や愛が問いとして立てられることはけしてない
答えのみをもっていて問いを知らぬ英雄たち
都と王に深淵が置かれることがなく
崩れ落ちる砂の城も飛び散る忠義の誉れも
実体をもたぬことはない時計の針と同じように
日々の気遣いに廃れ落ちることはない
キャメロットは英雄の鏡
天地に祝福されたエクスカリバーは存在そのもの
王は自身と世界とそのうちに強く同時に
存在と本質の円かなる統一を知っている
アヴァロンに鳴り響く雷鳴は衣服のように
王の身をまとい世界はふりむく王に必ずや命を与えるのである


>硝朱さま
リンクしていただきましてありがとうございます。
上昇する身体にほのめく光芒
影なす木立が星星を遮る
されど地の光が滅し灯るごとに
宵に紅き天はきらめいて応じ
風の柔和が成就を伝う

夜は時をのぼりると星をぬぐい
淀んだ腹底にヴェールを落とす
太陽の没落に月は煌々と輝きを示し
腐敗の街々を暗闇で御し通す
そして大地からの執拗なうごめきが身体に響く

時に麗しく時には醜い天上の住人よ
身体の濁流に超克の光輝を産みつけ
そのまま汚水で腐らせてしまう天上の住人よ
地の光はいずこかで炎となり汝と汝が身を焼きつくそう
健常のコンクリートに座する中庸の徳
私は聞く
南方の冬空はしなびた風とざらつく木々の眉間に矢を射ると
私は聞く私は聞く
願いをひずみに颯爽と駆け抜けた薔薇と衝動と燻りの野合が閃光にのたうつと
月光の鈍さは凶方に音頭を知らせああ金科玉条の門番よ
眠りの愛護に忘れたもうた夕暮れの深淵とステレオの裂け目とを
論理的質料の空間で未来とともに過去とともに
存在し得ぬ現在の実在を確かにしつつ
淀んだ苦水を骨に献上しながらも
我は聞く我は聞く
太陽の歯形が明らむ妙法の討伐とあぎとから漏れ出す悲しい笑いの結ばれを
御覧じなされ
語りをなさば傲慢となり
思考すれば我愛に陥る干し草を
輝ける太陽は苦い
霧に埋もれた街路地でモナドに太陽は熱ばかりを贈与する
風の啼声は重い
濁水をなめる川岸でモナドの開き得ぬ扉をあえて上品にノックする
そして甚だ鈍く不毛で
モナドは肋骨から無力を創造する
光よロゴスよコロセウムの歓声よ
ページを繰るたび確かにおまえを耳にする
耳にはするが通り過ぎ
言語との格闘技を眺めては
ポップコーンを片手に転がりもする
されどそれきり戦場を去り
霧に埋もれた吊り橋で
今にもモナドは足を踏み抜く
血のたぎる日曜日こなたかなたの鐘の罵声が運ぶ本日の労きを
われわれは朝食のスープに投入し駅の雑踏にてそれらを噛みしめる
眠りの中に柔和の毛皮で包んだ同一性を灰皿とともに携帯し
拡声器の楽の音に依頼された内容を確認する
針の穴を通り獅子のごとく動じず存在と本質を区別する
沸騰するスーツケースと義務にまみれた作業服を身につけて
光り輝く無人の観客席を前にねじきられた落語を演じるのだ

精密機械の天上的舞踏よ溢れる苦水を分子の集合に切り刻んでくれ
没落する太陽よ瞋恚の毒矢を抜き去って夕餉の食卓に溶かしてくれ
いとも華麗なページの嘲笑が唖の軋轢に殴打を加えるそれが無益
指をすりぬける時空のうねりは黒い影を鏡にわれわれにおのが姿を見せつける
地よ風よガラスでできた脆い汚辱の燻りよ
われわれは幾多の地震を一つの火災をもってあがなうのだ
郵便番号がワクから逸脱し
不潔な読解が私に届けられる
痛々しい数字の並びは
こっけいに肩を落としている
雨水の操作で溶け去った
その名も住まいも
発光する高貴は鈍くかすむのみ
腐敗する絹の封に賤民は落涙するも
文字(もんじ)に卑しき穢れを付くるのみ
曰くかの名はトリスタン
下劣な船にて芸ひさぐ
詭弁巧みな王子とか
ヴィオロンの声トリスタン
微細な粒子の振動が
光り輝き共振し
いとも妙なる色の音に
わずかな痛み風を呼ぶ
故郷にありて悲しきは
むしろ我が罪奴隷商
靄にただようこの光輝
臭い喉へとおしこめて
虚栄に彼をぞささげつる
もはやきらめき影もなし
我愛の陵辱許すまじ
我は我愛を許すまじ
(罪悪よ 新しい冒険と未来世代の収穫を……)
かくのごとく見た文面にのりあげる船は
やまぬ陵辱の風に帆を下ろすばかり
山上で孤独に安らぐは故郷にてあらず
ツァラは詩人にして哲人にあらず
浪漫的行為を森のかさぶたに臭わせて
たえきられぬ柳の妙なるあくび
梢を延長した諸星の天蓋
経巡る血管は木々にまつわり天へ延び
不可分の種子でできた梯子に変化する
幾多の血球とともに魂たちの火が流れ込み
圧力に憎悪を向けながら木の葉を焦がし幹を焼き
喉に染み入る清水のように
魂は森を疾走する
円かに燃える炎の絶叫は最中にて闘争
血管の支柱が焼け落ち
枝は互いの方向を奪いあい
葉は互いに押し合って日光を求める
争う彼らの指先が触れあうたびに
火はますます燃えさかる浪漫的行為
かくして天は星を失い森に時が開始する
わたしは楽しげに腐敗しとろけた小麦を貪り
電柱を抱擁しては眺める新聞を脇にかじりつく
白熱電球を筆の相棒にし般若の面を罵りもする
書物は真夏のコンロで薪となり
偶然轢かれた猫に粉チーズをふりかける

缶コーヒーの表面に蓄積する玉虫色の靄を飲み下し
鑑定士の声が雌豚じみていることのゆえに
一点透視の線描画に金粉をまぶし絶賛する

正義の眼球を籤で選抜し
真理を発言者に向けて塗りたくる
バターの香り漂う海老の溶解は道路に散逸して膿まず
摂取口をなくした蚕に飽かず柏を与う

時よ時よ おまえは白濁した閃光の訪れで形相をなし
あらゆる善悪が内在する質料のごとく
鈍い口蓋を食物で満たすのだ

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