監獄の中

2004年10月19日
柔らかな監獄の眠り
膝に目が付着した囚人の眠り
鉛の大地に生える盲いた花々の香り馥郁たる
海に放たれた陽光の一撃には暗雲が腕をかす
監獄の柔らかなまどろみのなか
海は陽の矢に射ぬかれそして飛び散り溶け去る

鉛の空から降り注ぐマネキン群
地の檻に叩きつけられ
夕餉の煙りただよう監獄に殴打され
砕けもせずにうなだれる

柔らかな監獄で眠る囚人には届きもせず
鉛でできた天地を行き来する
煤けた顔のマネキン群
輝ける陽はあまりにまぶしい
檻の羽毛には生死の対称が存在せず
囚人は眠れるままに溶け去り消え去る

黒々としたマネキンの挫折
柔らかな監獄の拘束と怠慢
さなかで囚人は眠れるままに溶け去り消え去る

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