すすり泣く理性はシルクハットをかぶり
光り輝く拡声器はミントの香り
アーケードの裂け目からはなめらかな深淵が垂れ
港を焦がしまた港に紛れる雑然の蒸気からは
怒号と水仙の嘲笑しか聞こえない
世界の全てを七色の氷で映し出し
権利上のネクタイも放棄した哲学者諸氏に
どうして豊潤な陸が必要なのか

ほぐし難く断ち切り難く
徴兵された幾多の思索の糸たちよ
生への奉仕を迫られる
論理と言語の問いかけよ
貨物室に陳列された真理たちは肩を落とし
しかも化粧の支度に余念がない
われわれは正義を鏡に好みのままに紅を引いては
苦い欠如との野合を拒むこともできず
愛を欲望のキャンバスとなして自ら疲弊し
もはや星の姿のいかなる影も見出し得ない
そして美さえが肥太った自我の舌に貪られ
君主制的権利の偽装に陵辱されるのだ

人生の下女となり
ダイヤモンドの人格と価値ある虚飾に悲鳴をあげる
存在と本質の定式よ
おまえは我が身のための夢のなかでも
永遠なる堅固のパンを望んでいた
だが今や混沌の街の中で夜の中で
聾のおうむや金髪のマルガリータの満足のため
頭脳のようなソナタを演じるのか
 おお調和の羽毛に身を包み
 海なすロゴスと溶け合った
 理性と歴史の鍵穴よ
われわれは定住の港を求めて漂泊を拒み
それゆえ無実の読書はありえない
思索者は人生のためにその果実を捧げるのではなく
果実のために人生を捧げるのだ

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