言語によせる信頼

　聞かずに倒れ私は往く
すべてが言語に慰撫されたあの世界の形式へ
認識が疲弊し喉を涸らす時
すべてが慰撫された言語の形式へ
摩擦のない論理形式へ
自足ししかも開かれたあの形式へ
言語は我々に魂の緒を握られているが
それでも自律し新芽を育て
ただひとつの弾劾としてわれわれに真理を保証し
ただひとつの倫理としてわれわれを告発し
ただひとつの美としてわれわれを彼方へと導いていく

すべてが慰撫されたあの言語の形式へ

幾多の過ちと錯誤とに彩られながら
確かに世界を映し出し我々を明晰に語らしめる
アカデメイアの理性が見出した広大な地図と
聖トマスの奔放が練成した海上の要塞に背をそむけつつも
　知らずに倒れ私は赴く
すべてが慰撫され窓も鏡もないあの言語の形式へ