オルフェウス

黄泉のヴェールから滴る天球の燻り
黄道の背に生える臼歯には惰性の長針がとりつけられ
来し方も行く末も喪服のさざ波が指揮をとる告発に満ちている

飢えた鉄鋼の屹立をのぞみ　光が枝をのばす更地を目指している
怠りの制服と賞罰の賽子を秤にかけて
数多なる推論の反復をページの闇に投影する
かがやく紅茶が清涼な慈悲を天空に注げば
飢えた鉄鋼の屹立をのぞみヴェールと長針に哀惜を知る

ふくれたパイプが脱出となる道では
無彩色の砂嵐がふきだまる宇宙になり
枝をのばす光が跳躍の銃声である

この結び目を誰が解こうか
おもおもしい反復が飢えた鉄鋼の屹立をのぞむのに
ヴェールから滴る青白い甲殻類が吐き出した無為の鉄球
来し方も行く末も定かな嵐に身体をねじる