揺すれる木の葉は風に舞い鳥へと変化しくすぶる戦火に撃ち落とされる。星星がはるかなる笑いを煌々と投げる最中にて目下の砂漠には枯れ木と不具のヤギが下劣な声をあげているのが見えないか。赤々と空気は染まり祭壇から満ちる歓喜の渦潮は勇猛果敢なる騎士たちの足踏みにあわせ瓦礫と名誉と汚辱の味を己の腕に染み入らせている。
真なる知恵よ。かかる躍動の饗宴に感ずる舌の妙楽、おおこの妙楽が苦きにほかならぬと私の心臓に撃込んでくれ。
人も獣も魚も虫も草木もみな一切、誰もが望むヴェールの中で生け贄の炎に包まれ殴打し噛み付き相絡まり、過去も未来も永続とさえ思われる争いに身を費やしている。これぞ万物の万物に対する闘争に他なるまい。
真なる知恵よ、おまえが果たして正真正銘の真理か、判断の術も私にはあるまいが。されど倉庫の片隅では美しくも見えるこの戦場の変わらぬ野蛮ときたら。見飽きた月なぞ退屈の涙をしたたる始末だ。このヴェールの名は無知といい、さなかで起きる不埒な銃撃戦は外の静かな空気をつゆしらぬ。いや違う、手にした刀の斬れ味に最高の美味を冠するのが彼らのならわしなのだから。私はおまえに誠実を誓ってみせよう真なる知恵よ!
地平線には白日の審判が照り輝き、ゆく道には青々と茂る森ときらめくせせらぎに彩られて清涼な風の息吹きが絹ように私をとりまいていく。真なる知恵よ、だが私の鼻でくすぶる焦げたの臭いに陶酔の甘味を感ずるのはなぜだろう。竹林ははるかに遠く容赦なき陽光の天秤も未だ判決には至らない。容易く私は呼びかけていたが、大地の裏側にたかが一声で届くはずもあるまいに。たとえ世人が封じようとて私はおまえを敬うが真なる知恵よ。あなたはかくも遠くしかも私は人も草木も等しく投じる火中を退く自らをまた卑しく思うのだ。ああ高潔の真なる知恵よ!

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