子葉の谷から延長する花弁
 くゆる風の刃に根を断たれ四方に散る
ひとつは土の棘に高潔な試練を求め
あるいは舞踏を強いられる
ひとつは水面のやさしげな抱擁を受け
あるいは躍動を奪われる
 陽光の幕引く肋骨は旅行鞄に過去をつめ
 想起の虚偽をあばく
ひとひらの花弁に刻まれたマスカラの瞳
百科事典風の知恵なる花粉
運搬の旅行鞄は鍵盤を慰撫する女の指とか
やんごとなき大伽藍の詐称
血脈の線路が荒野にひしめき
夜空の最中真理への人身御供を中止する
しかるに供花
真と番うものの胸から落つるばかりにて
ガラス製の炎に落涙を許すまじ
芳香の論を待たず
転がる根の吝嗇に殴打の身分証明書を明かすまい

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