駆け抜けるわけにはゆくまい…天上の針金が塵のようにさし貫く世界世界のありさまよ。立ち上がり愚かさは刃を受ける前にたちどまり、心あらずも背骨を石灰のように崩れ落ちる。それが恥辱というものだ。愚者の影を身体にまき散らし、ガラスを蹴やぶる動機をあなたのような頭上から注いではいかがかね。いうならば星と月のかかわりに近い。私は星星と肩を並べたと信じている愚かな月の満ち欠けを憎む。その憎しみが午前四時の光で忘れられ、心よりもはやく翼をつけて舞い落ちる自惚れ……切り裂いた風の中で美しくひらめく女たちを視野から消去しおまえは臥せる。そして耳目を楽しませる。適意によって。見かけの試練によってまたたえまなき不正によって。殴る先の劇薬をおまえの皮膚は嬉々として受け入れた。
西へ西へ!
何も私は聴きはしない、目もなく口も忘れた。真理という美しい現実性はイデアに変質し女となってしまえばよい。だれもかれもがおまえの堕落を堕落として認めまた認めずそして知ることをせずあるいは知ることになるだろう。片隅で蠢く独在をめざしていつたどり着けるだろうか。
西へ西へ!
風とともに腹の欲をさらに欲し醜悪な桜であれ。もはや我、分離と混然のはざまにあって問いを発するものは幸せだ。幸福は不幸に等しい。なぜなら不幸になりさがるより悪徳の修正をめざし、悪を断じることになってしまうのだから。独断が許されるのは美の庭園においてのみ。独断は手をもたない。それゆえ何物ももとめない。自足に感じ、平らかな精神と真の独在をもとめ学びを忘れ、生を忘れ全て忘却へと蒸発させる。
駆け抜ける死よ、おまえの指で私のまぶたをとざしてくれ。

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